当院の網膜硝子体日帰り手術について

わずか0.5mmの切開で手術ができる、新しい硝子体手術が日帰りで可能に。

硝子体と硝子体手術

光を屈折させる役割を持つ硝子体

光を屈折させる役割を持つ硝子体

硝子体とは、眼球内部の大部分を占める無色透明なゼリー状の組織です。この組織がなんらかの要因で混濁や出血、網膜を牽引してしまうと、光が遮られ視力に障害を及ぼします。網膜硝子体手術は眼科分野で最も難しい手術の一つで、手術では硝子体やその後ろの網膜の機能を回復させるために眼球の中の出血やにごりを取り除いたり、網膜の疾患を治したりします。医療技術の発達により以前に比べ手術が可能な疾患が増え、当院では毎年、数多くの硝子体手術を行っております。

硝子体手術が必要になる主な病気

硝子体混濁・硝子体出血

硝子体に接着している網膜の病気から起こる硝子体出血、混濁などで視力に影響を及ぼす病気です。患者様は突然眼がかすんだ、見えなくなったなどの症状で来院されます。
硝子体出血は、他の部位からの出血が硝子体腔の中にたまった状態です(硝子体そのものに血管はありません)。悪化した硝子体の組織を除去する手術などで、視覚障害の改善が図れます。

黄斑円孔

眼底網膜の中心部にある黄斑に穴が開く病気です。中高年の女性に多い病気で、周辺部分は見えても中央部分の視力が低下することで病状を自覚します。黄斑に穴が開くと視野に暗点が生じ、見ようとしても見えない状態になり、中心の視力が低下します。早期の黄斑円孔なら、硝子体手術で視力回復と歪みの改善を図ることが可能です。さらに進行すると、網膜剥離になる可能性があります。この場合は、患者様に病状を理解していただき手術で進行を抑制します。

網膜剥離

眼球の内側にある網膜が剥がれ、視力が低下する病気です。外傷性、遺伝、加齢などの原因が挙げられます。50歳以上の方にみられる飛蚊症(何かがチラチラ見える、黒いものが見える症状)は、後部硝子体剥離の症状の一つです。この状態で留まれば多くの場合それほど心配はありません。しかし、網膜の一部が牽引される状態が長く続くと、網膜に亀裂が生じることがあります。そして神経網膜が剥離していき、網膜剥離に繋がるケースもあるため注意が必要です。網膜剥離の発症率は決して多くないのですが、放置をすれば失明に繋がりますが、早期に発見できれば多くの病例が回復可能です。なお当院では、患者様の年齢や症状によって、腹膜位術か硝子体手術を選択しています。

糖尿病網膜症

糖尿病網膜症の進行により眼底にある網膜の血管が弱り、白斑や浮腫、出血がみられ視力障害が起こる病気です。自覚症状があるまで定期検査を十分に行っていない場合も多く、視力の低下で初めて眼科を訪れる患者様もいらっしゃいます。進行して網膜剥離が起きると失明する可能性があり、成人の失明理由の上位に位置している病気です。
病状の進行により硝子体内に増殖した組織や出血部分の除去が必要となる場合があり、手術では当然のことながら合併症を防ぎつつ視認性が低下しないよう細心の注意を払います。生活習慣病である糖尿病から起きている症状ですので、急に難症例になるわけではありません。ただ、ご本人も気が付かない間に悪化しているケースがあるため、当院では初期からしっかりと啓蒙することを心掛けています。

白内障と硝子体の同時手術について

数年先を考えて負担の少ない手術を

数年先を考えて負担の少ない手術を

硝子体手術の際は、術後の白内障の進行を抑えるために、同時に白内障手術を行うケースが多いです。2つの手術を同時に行うことで数年後に予想される手術の負担が軽減されるので、60歳以上の方には白内障手術とあわせて硝子体手術を受けるようお勧めしています。
硝子体手術が必要となる疾患は、加齢によって起きることが多いです。硝子体と白内障の同時手術で、数年先の負担を減らしましょう。

地域の総合病院に引けを取らない設備

地域の総合病院と同等の設備

当院では毎年数多くの硝子体手術を行っています。総合病院など規模の大きな病院に引けを取らない手術を、患者様の負担が少ない状態で提供できるよう、「アルコン社製コンステレーション」を導入。日帰り手術を可能にしています。毎週2回の手術日を設定している他、病状によって緊急手術にも対応しています。
※日帰り手術の場合、経過観察(定期来院)が必要です。

コンステレーション(アルコン)

わずか0.5mmという小さな切開で、網膜硝子体、白内障手術を可能にした医療装置です。極めて侵襲が少なく安全な日帰りでの手術が提供できます。

顕微鏡装置(ツァイス ルメラT リザイト)

世界で幅広く評価されているカールツァイス社製の手術顕微鏡です。前眼部~網膜硝子体まで幅広く対応でき、技術を要する手術には欠かせません。

手術控室(特室)

手術控室(特室)

手術室前にある控室で手術前後にお休みいただけます。疾患によっては硝子体手術の際にうつ伏せになっていただくため、楽に姿勢を維持できるよう専用の椅子を備えています。
ご家族の手術を見守りたい方はこちらからご覧いただけます。