2018.10.11更新

先日、数年前に白内障手術をさせて頂いた患者様が来院された。

ただ…2、3日前から急に見えづらくなったと…。一見すると、何も問題がないよう見えた。早速視力を測ってみると…強い遠視状態。最後の診察時は、裸眼で1.0出ていた。すぐに眼内レンズがあるべき場所に無くなっているんだと気がついた。

ただ、特に眼をぶつけたなどのエピソードは無し…。何故だ?


散瞳検査をしてみると、瞳孔領にあるはずのレンズがごっそり下方に落下しわずかにハプティックスが見えていた。レンズを納めたはずの水晶体嚢は、下方が脱臼してめくれ上がっていた…。


昔の手術記録や手術動画を確認したが、何もおかしなところは無くいつも通り終了していた。


この状態なら、眼内レンズを虹彩上に容易に持ち上げられる。患者様を直近の手術日に誘導した。嚢の状態次第だが、すぐに元に戻せる可能性もありと判断。その患者様は、左眼も昔逢着(他院で)になったので、私の眼の支え(チン氏帯)が弱いんですかね?っと言い辛い事を逆に自分から聞いてくれた。その日のうちに予想されうる手術時の対応法を2つ提示して、丁寧にムンテラさせて頂いた。簡単で非侵襲的な方法で終われば良いのだが…。


手術当日…予定手術の患者様達に影響の出ないように、1時間早く一番最初に執刀した。スタッフ達は普通にやりやすい環境を整え対応してくれた。開院以来…緊急手術に対応してきたからこそ、1件手術が増える…くらいの感覚で、心地良く難しい手術であっても私は手術だけに集中させてもらえるようになっている。

 

いつもの事だが、その日も、予定の硝子体手術が3件(近所の方のMH、無治療のPDR、ERM)と両眼同時の白内障手術6件とブレブ再建術があった…。

 

眼底(目の奥底)まで、万一レンズが落ちた場合にも備えて…硝子体手術のつもりでセッティングして始めた。レンズに絡んでいる硝子体を切除して、虹彩上に持ち上げるのは難しくなかった。水晶体嚢を粘弾物質で広げてみると破嚢も無く、チン氏帯は外れているが再利用できる印象を受けた。CTR(嚢に張りをもたせるリング)で補給して嚢内にレンズを固定(元通り)できれば最高と思った。


が…CTRを挿入し始めて気がついた。チン氏帯断裂の範囲がゆうに260度以上は越えていた。即座に水晶体嚢を補強して利用出来るレベルでは無く、ましてや既存のレンズの再利用も無理だと判断した。レンズと嚢を取り出して…用意しておいた強膜内固定用のレンズを利用した。


こういった手術時に肝になるのは、いかに綺麗な傷口(強膜三面切開)を作っておくか。始めから、こうなる事態も想定していての準備。結膜を大きく切開し、強膜を露出しておいた。そして…強膜創を拡大しても自然閉鎖するぐらい綺麗な3面切開(トンネル)の作成をしておいた。それが幸いして…変に虹彩脱出など起こさないで済んだ。強膜内固定は、7ミリ光学系のエタニティーが秀逸だと思い全例に使用している。特に気に入っているのが、ハプティックスの柔軟性。鑷子で掴みに行く手技の私には最高の素材だ。やりやすい。


ベストポジションに固定して、ハプティックス先端をトリミングし強膜内ポケットに納めた。慣れたものだ…初めて施行した時は、かなり難度の高い手技だと感じた。従来のレンズ逢着の手技に気待ち的に戻りたくなる時もあった。ただ逢着は上手くいっても傷口が大きくなる(7ミリ)分、術後に惹起乱視が必発する。それが嫌で仕方なかった…。


強膜内固定が、私の手技のレパートリーに加えられるレベルになってからは、白内障手術のどんなトラブル例(もともと難しい状態であっても)にも迅速に対応できるクリニックになったと言いきれる。昔のようにレンズが入らない事は皆無だと思って良い。


ただ…白内障手術は上手くいって当たり前の時代。明らかに手術前に難症例だと分かる場合や初回の手術でトラブルが起きて紹介されてきたケースでは様々な場合を想定してムンテラできる。だから対応もしっかりでき、結果も自然とついてくる。一番難しいのは、手術してみたら想定外に組織が弱くてトラブルになる場合。失敗したの?なんて思われたり、こちらも想定外なのでしっかりムンテラ出来ていない負い目を感じ、多くの術者が…必要以上に冷静さを失い、正しい判断を見誤るんだと思う。

 


ムンテラは、よく我々医療者(術者)を守るための物だと履き違えて患者様に恐怖だけを与えてはいけないと思う。ムンテラは、患者様のためにあるものであって…手術以上に実は大切な時間なんではないかと思っている。


手術は当たり前に当たり前の事をするのがプロだと思うし、後から『聞いていなかった』や『誤解していた』は絶対に言わしてはいけないキーワード。これからもこれらを肝に銘じ…ムンテラに時間をかけるクリニックで在りたいと思う。

 

もちろん不幸にも…眼内炎や術後網膜剥離、駆逐性出血が起きたとしても、善処する術を知っているし最短で対処できるスタッフが集まっている数少ないクリニックだ。

そして…レーザー白内障手術も行なっている

2018.04.21更新

難症例の糖尿病網膜症の硝子体手術をしていると…いつも思うことがある。先日も…。


もっと早い時期に適切な治療が行われていたら…。早い時期に専門医から適切なアドバイスがなされていたら…。私の考える適切な治療とは、まずはしっかりと汎網膜光凝固(レーザー)が完成している事。適切なアドバイスとは、失明する病態で失明原因の第2位の病気であることをしっかり啓蒙し、定期検診の必要性を理解させる事。硝子体手術後もしかり…。

 

生活習慣病である糖尿病は、長い期間を経て眼合併症が発症してくる。突然難症例となるわけではない。また一生付き合っていかないといけない病気。初期は、無症状だから、本人の知らない間に悪化しているケースもある。運が良いのは、初期から症状が出るケース。誰もが必ず眼科に受診してくれるから、うちであれば、しっかり啓発することを肝に命じている。

 

眼科医が積極的に加療に踏み込むのは、前増殖期から増殖期の段階。部分的な網膜光凝固術(網膜レーザー)から汎網膜光凝固術…そして硝子体手術や緑内障手術。

 

個人的には、網膜光凝固術をするこの時期の治療にかなりの差があるように思える。しっかりとレーザーが入っている人。適当なレーザーしかなされていない人。実は…この時期の治療(網膜レーザーの成功)が硝子体手術が必要になった時の手術難易度を決めているんだと感じている。手術依頼を受けると…実に様々なレーザー後の患者様に遭遇する。医師側が黄斑浮腫が出るからと、汎網膜光凝固術を躊躇しては決していけないんだと思う。ケナコルト注射などで対策はできる。そして、レーザーは患者様も痛みを伴うが、必要なら麻酔も使用してでもしっかり完遂すべきだと思う。そして…手術のタイミングを間違えてはいけない。

 


例えば…牽引性網膜剥離が生じている場合でも過去にしっかりとレーザーが全体に入っていれば、手術を問題無く終えることができる。レーザーが不十分でも硝子体カッターを7500回転にしたり、シャンデリア照明などツールを駆使すればリカバリーも充分可能。一番やっかいなのは、若い患者様で、今まで眼科も内科も無治療…なのに手術が必要な場合。

 

糖尿病患者様の硝子体手術をする時に、特に気をつけているのが…当たり前だか、手術による合併症を起こさない事。特に術中の止血は必須で、視認性が低下しないよう細心の注意を払う。また、硝子体切除もやり過ぎ無い、でもしっかりシャンデリアと眼球圧迫を併用して確実に切除。網膜再周辺部に網膜レーザーをしっかりと全周にわたり完成させ、後極部(黄斑周囲)はしっかり内境界膜剥離をおこなう。他の疾患よりパッカーができやすいからと考えている。

 

このように確実に手術をしても…術後の管理(炎症およびレーザーの追加)をしっかりしないと硝子体出血が生じたり、最悪の場合は新生血管緑内障として戻ってくる。

 


手術が上手くいくと、安心して通院が疎かになる患者様をしっかり啓発。また我々Dr も面倒くさがらずに蛍光眼底造影検査をしっかりおこない眼底評価をする。本当に大切な事なんだと思う…。

 

ジレンマを感じた事を自戒の念も込めて…。

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